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第46段◆細殿に人あまたゐて

  ある意味いかにも女性が書きそう

評論日常宮廷サロン

細殿(ほそどの・廂の間を仕切った女房の部屋。この場合は西の廂の間。第8段の写真参照)に人が大勢いて、おしゃべりに興じているときのこと。こざっぱりした召使の男や貴族に仕える少年たちが、ステキなラッピングや袋に主人の衣服を包み、端から指貫(さしぬき・袴)の裾をくくる紐が覗き見えているものを担いで、弓矢やら盾やらも持ち運んでいる。

「どなたのものなの?」
って尋ねてみて、
「なんとか様のものでございます」
と膝をついて答えてくれる姿は良いものだ。

顔色を変えたり恥ずかしがって、
「知りません」
と答えたり、返事すらせず立ち去る姿は、とっても憎たらしい。

ラッピング
▲清げなる男、小舎人童など、よき包み袋などに衣ども包みて…

第47段◆主殿司こそ

  平安時代のキャリアウーマン

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主殿司(とのもりづかさ・後宮の清掃や薪炭などを担当する女官)って、サイコーのキャリアよね。下級女官からすれば、これほど羨ましく思う役職はないわ。良い家柄のお嬢さんにも務めさせたい仕事ね。

若い美人がオシャレしてこの職を務めたなら、ましてカッコよく見えるはず。少し年齢を重ねて宮中の慣例やしきたりを把握し、我が物顔に仕事をこなしているような人もまた、主殿司に相応しくてイイ感じ 。

主殿司の中から可愛らしい顔をした子をひとり召し抱えて、季節に合ったコーディネートを施してあげて、裳(も・表着の上で腰に巻くもので後ろに裾を長く引く)や唐衣(からぎぬ・十二単の一番上に着る丈の短い衣)なんかも、流行のものを着せて、あちこち歩かせてみたいのよねー。

和装女性
▲主殿司の顏、愛敬づきたらんをもたりて、裝束時にしたがひて、唐衣など今めかしうてありかせばやとこそ覺ゆれ。

第48段◆をのこは

  ゾロゾロ手下を連れ歩くのもどうかと

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男の人だったら随身(天皇・摂関・大臣・近衛大将などの身辺警護にあたる武官)になるのがイイ。すんごいイケメンの若い男性貴族であっても、随身を連れていないのはがっかりする。
弁官(太政官の事務官僚)などは、非常にスゴイ官職だと思っているけれど、下襲(したがさね・アウターとインナーの間に着るトップス)の裾が短くて、随身を連れていないのがダメダメなのよね。

イケメン
▲をのこはまた随身こそあめれ。いみじう美々しうてをかしき君たちも、随身なきはいとしらじらし。

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