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第6段◆同じことなれども

  一言多い人っていますよね

ものづくし

中身は同じなのに、聞いた感じが異なるもの。

僧侶の言葉。男の言葉と女の言葉。下々の人たちの言葉には、絶対と言って良いほどに余計なひとことが付いている。

責められる男
▲下衆の言葉にはかならず文字余りたり。

第7段◆思はぬ子を法師になしたらむこそ

  今時の親はどう思うのでしょう

 

可愛く思っている我が子を僧侶にする親の気持ちというものは、大変気の毒なものだ。世間では僧侶を棒っきれか何かのようにつまらないモノだと思っているのも辛いことだ。

精進料理の粗末なものを食べ、居眠りをしただけでも酷く叱られてしまう。
若いうちは好奇心だって起きるだろうに、女たちが居るような場所だって忌み嫌うかのように避けて、ちょっと覗いてみることすらしないなんて、そんなことはおかしい。なのにその程度のことですら、世間ではやかましく責めるのだ。

ましてや修行僧にもなれば、とても辛そうだ。疲れて居眠りをしただけでも「居眠りばかりして」と非難されてしまう。肩身が狭い思いをしてばかりで、どれほど辛いことか。
とはいえ、こんな話はもう昔の話。現代の僧侶はとても気楽に過ごしているようである。

僧侶
▲思はむ子を法師になしたらむこそ心苦しけれ。

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