虫だったら、ステキだなと思うのはスズムシ。ヒグラシ。ちょうちょ。マツムシ。コオロギ。キリギリス。ワレカラ(海藻に付着する小さな節足動物)。カゲロウ。ホタル。
ミノムシ(写真参照)はなんだかとってもしみじみ。
鬼が生んだ子なので、親に似てこの子も鬼の恐ろしい本性があるのだろうと、親がみすぼらしい着物を子に着せて、
「もうすぐ秋風が吹く季節になるからね。そのとき迎えに来るから待っててね」
と言い置いて親は逃げてしまうの。
そうとも知らず、子は秋風の音を聞いて八月ぐらいになると、
「父よ、父よ」と儚げに鳴いている姿は、とても同情を誘うわね。
コメツキムシ(仰向けにすると、自ら跳ねて元に戻る虫)も哀れな虫よね。
その精神に信仰心を起こして、額を地面にすりつけて拝みながら歩き回っている。思いがけず、暗い所でコトコトと音を立てて拝みながら歩いている姿も面白い 。
ハエこそは、憎いものの中に入れるべき! これほど可愛げのないものはない!
人並に扱って目の敵にするほどの大きさではないけれど、秋なんかじゃ、どこにでも止まるし、顔なんかにも湿った足で止まるのよ!
人の名前にハエという文字が入っているのも、全くゲンナリする。
夏の虫は、とても風情があるし可愛い。灯りを近くに引き寄せて物語などを読んでいるときに、本の上とかを飛び歩くのがなんともおかしくって。
アリはかなり憎たらしいけれど、ほんとに身軽で、水の上なんかでもどんどん歩くところはユニーク。