第50段◆馬は

またまたシンプルものづくし

馬は真っ黒で、ほんのわずかに白い部分がある馬が良いわね。
紫色のまだらが入った葦毛（あしげ・白い毛の混じった馬）の馬もステキ。薄紅梅（うすこうばい・写真参照）の毛で、たてがみや尾などが真っ白な馬も。まさしく木綿髪（ゆうがみ）と表現するだけのことはあるわ。
黒馬なのに脚が白い馬も、とてもユニーク。

▲薄紅梅の毛にて、髪、尾などいと白き。

牛はおでこがかなり狭くて、そこだけ色が白くて、あとはおなかの下側や脚、尻尾の先などが全部真っ白なのがキュート。

▲牛は額はいと小さく白みたるが、腹の下、足、尾の裾などはやがて白き。

猫は背中全体が黒くて、お腹が白いのがかわいい。

▲猫は上の限り黒くて腹いと白き。

雑色（ぞうしき・貴族や武家に仕える雑用係）や随身（天皇・摂関・大臣・近衛大将などの身辺警護にあたる武官）は少し痩せていて、スリムな人が良い。身分が高い男性でも、やはり若いうちは痩せている方がステキだ。
デブ男は、眠そうに見えちゃうからNG。

▲いたく肥えたるは、ねぶたからん人と思はる。

小舎人童（こどねりわらわ・蔵人所に属して雑事に使われた少年）は、小さくって髪がとってもキレイで、髪先がさっぱりしていて、少し華やかさもある子供が、綺麗な声で畏まって物を言う姿こそ、品があって可愛いの。

▲小舎人童は小さくて髪いとうるはしきが…

牛飼いは身体が大きくて、ボッサボサのヘアスタイルで、赤ら顔で才気がある者が良い。

▲牛飼は大きにて髪あららかなるが、顔赤みてかどかどしげなる。